えんの森とは

 「NPO法人えんの森」は2011年9月26日、浜中町、別海町の酪農家を中心とする住民有志が結集して設立いたしました。 

 

 浜中、別海両町を流れる風蓮川水域の環境保全に取り組み、自然と調和した酪農郷を築くことが、「えんの森」の目的です。そうして生き物の豊かな環境を取り戻すことが、この地で生産される生乳の「安全・安心の証」になると考えます。また、「えんの森」は地域の魅力ある資源を発掘し、いろいろな楽しいイベントを企画して「住みたい、住み続けたい地域づくり」を進めるという大きな目標を持って活動して行きたいと考えています。 

 

 これまでの酪農は、豊かな生活を求めて規模拡大を進め、ゴールなき拡大を続けてきました。森が切り開かれて牧草地が広がり、根釧の大地を流れる川は自然の浄化装置としての機能が低下しました。結果として多くの動植物が姿を消し、自然の生態系が崩れたように感じます。一方で農村社会は農家戸数の減少や少子化の進行で学校の統廃合が進み、地域のコミュニケーションの場が失われてきました。 

 

 私たち住民は、このような状況の下で、さまざまな環境保全の活動や、地域活性化のためのイベント実施に取り組んできました。環境保全では、酪農家の仲間の理解と協力を得て、牧草地として開発したものの河畔の湿地などで牧草栽培に利用できない土地や、酪農経営に支障のない土地を提供してもらい、木を植えてきました。また風蓮川の支流にある堰堤に魚道を手作りして、希少な魚が自由に上流の産卵場所へ遡上できる環境を整えました。地域活性化では、牧草ロール転がし、農村景観の写真コンテスト、その写真をあしらったカレンダーの作成など、さまざまに活動してきました。 

 

 この経験を踏まえ、河川の上流で酪農業や林業を営んでいる人と、下流で漁業を営んでいる人が協力して環境保全に取り組めば、お互いに「持続可能な経営」につなげることができるだろうと私たちは強く感じています。 

 

 こうした活動を下地として進める「えんの森」の事業は、活動範囲が広域に及び、成果が出るまでに20年、30年かかる息の長いものです。そのためには、しっかりとした活動が展開できる安定した組織づくりが最も重要になってきます。皆様のご指導、ご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。